活動報告
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第一原理物性シミュレーション講習会
- 2013年04月12日掲載
- 推進室
日時 | 2013年03月26日 13:00~16:10 |
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場所 | 豊橋技術科学大学 B-206教室 |
主催 | 次世代シミュレーション技術者教育推進室 |
講師 | 日立製作所・中央研究所 濱田智之 |
報告
今回の第一原理物性シミュレーション講習会では、(株)日立製作所・中央研究所の濱田智之氏を講師に招いて、固体誘電率の第一原理計算の理論及び計算の実際について講習しました。東京大学生産技術研究所を中心に開発が進められている第一原理シミュレータPHASE/UVSORを用い、本学に導入されたスーパーコンピュータを用いて、立方晶SiCの誘電率の計算を行いました。講習の内容は以下の通りです。
1.講義編
- 誘電率の起源と電子系及び格子系誘電率
- 誘電率の波長分散成分とその起源。固体の誘電率を決める電子系及び格子系誘電率とその特徴
- 電子系及び格子系誘電率の計算方法
- 電子バンド構造から電子系誘電率を計算する方法。誘電率を決めるバンド間遷移モーメントの計算方法
- ベリー位相分極理論を用いて、電子バンド構造から格子系誘電率を計算する方法
- 第一原理シミュレータPHASE/UVSORによる電子系及び格子系誘電率の計算およびその実装形態。
- 金属酸化物の誘電率の計算例
- トランジスタゲート絶縁膜用high-k材料の誘電率計算例の紹介。High-k材料では、全誘電率に占める格子系誘電率の割合が大きい。
- アモルファス性high-k材料は、結晶性high-k材料と化学組成が同じであっても異なる誘電体である。特に、数百ギガヘルツからテラヘルツの周波数でその差が顕著となる。
2.演習編
- PHASE/UVSORを用いた立方晶SiCの電子系及び格子系誘電率の計算。
- 計算には本学に導入されたスーパーコンピュータを使用。
- 計算により得られた誘電率の実測値との比較。
- 計算により、誘電率の実測値が再現されることを確認。
本講習会は、固体物理の計算に関するものであり、固体物理特有の概念、理論が登場したため、十分な理解が得られなかった参加者もいたと思われますが、第一原理シミュレーションにより、誘電率という身近な物理量が原子構造から数値計算により算出できることが理解していただいたと考えています。この講習会を機会に、参加者の皆さんが固体物理の勉強を始めることになれば幸いです。
担当
関野秀男(sekino 左記アドレスに@adsim.tut.ac.jpを補完してください。)
小畑繁昭(obata 左記アドレスに@adsim.tut.ac.jpを補完してください。)
問い合せ先
次世代シミュレーション技術者教育推進室,田村(0532-44-6548)